狂犬病は、人を含めた全ての哺乳類が感染し、発病すると治療法が無く、ほぼ100%死に至る極めて危険な感染症です。
日本では犬に狂犬病ワクチンの接種が義務付けられて以来、1956年を最後に人への感染を許していません。(海外からの帰国者の感染については、1970年に1例、2006年に2例)
このことから、犬における予防を徹底することがとても大切と言えるため、狂犬病予防法という法律で犬の飼い主の義務を定めています。
犬の登録
狂犬病予防法(第4条第1項)
第四条 犬の所有者は、犬を取得した日(生後九十日以内の犬を取得した場合にあつては、生後九十日を経過した日)から三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長。以下同じ。)に犬の登録を申請しなければならない。ただし、この条の規定により登録を受けた犬については、この限りでない。 |
犬を取得した日(または生後91日目)から30日以内に、飼い主は犬を所在地の市町村に登録しなければなりません。
狂犬病予防法(第4条第2項,第3項)
2 市町村長は、前項の登録の申請があつたときは、原簿に登録し、その犬の所有者に犬の鑑札を交付しなければならない。 3 犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない。 |
犬が登録されると、登録済みであることを証明する鑑札を交付します。
この鑑札は、犬が常時身につけておかなければなりません。
狂犬病予防法(第4条第4項,第5項)
4 第一項及び第二項の規定により登録を受けた犬の所有者は、犬が死亡したとき又は犬の所在地その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地(犬の所在地を変更したときにあつては、その犬の新所在地)を管轄する市町村長に届け出なければならない。5 第一項及び第二項の規定により登録を受けた犬について所有者の変更があつたときは、新所有者は、三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長に届け出なければならない。 |
犬が死亡したり、所在地が変わったり、飼い主が変更になったときは、30日以内に犬の所在地の市町村に届け出をしなければなりません。
予防注射
狂犬病予防法(第5条第1項)
第五条 犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。 |
狂犬病の予防注射は、通常4月1日から6月30日までの間に受けさせてください。
なお、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、「12月31日まで」に期限が緩和されています。
(※犬が高齢であったり病気の場合などは例外がありますので、詳しくは獣医師にお問い合わせください)
狂犬病予防法(第5条第2項,第3項)
2 市町村長は、政令の定めるところにより、前項の予防注射を受けた犬の所有者に注射済票を交付しなければならない。3 犬の所有者は、前項の注射済票をその犬に着けておかなければならない。 |
狂犬病の予防注射を受けると、注射済みであることを証明する「注射済票」を交付します。
この「注射済票」も、犬が常時身につけておかなければなりません。
罰則
狂犬病は恐ろしい病気であるため、義務違反者に対して刑事罰(罰金)を定めています。
狂犬病予防法(第27条)
第二十七条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。 一 第四条の規定に違反して犬(第二条第二項の規定により準用した場合における動物を含む。以下この条において同じ。)の登録の申請をせず、鑑札を犬に着けず、又は届出をしなかつた者二 第五条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかつた者(以下省略) |
・犬の登録をしない
・犬の登録の変更(死亡届や所在地変更など)をしない
・鑑札を犬の身につけさせない
・予防注射を受けさせない
・注射済票を犬の身につけさせない
これらを怠ると、いずれも20万円以下の罰金が科せられることになります。
恐ろしい狂犬病を予防するための「登録」「届出」「予防接種」を忘れないようにしましょう。